第2章【雨鱒村にて】

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「わしのことは構うな!早く逃げるんじゃ!」 俺たちが食堂を出た瞬間、今度は聞き覚えがある老婆の悲痛な叫び声がした。 「おい!渓!今の聞こえたか?」 「あぁ、あれは俺を助けてくれた老婆の声だよ。」 「お前を助けた?俺の記憶にはない出来事だな。そういえば手拭いはどこに?」 「あの時、年雄は行方不明だったんだよ。手拭い?手拭いは…あそこだ!」 手拭いは食堂より数メートル村の入口に向かった辺りに落ちていた。 俺は手拭いのすぐ近くまで行って息を飲んだ。 手拭いは、かなり切れ味の鋭い刃物で切られたように、真っ二つになっていたからだ。
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