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「わしのことは構うな!早く逃げるんじゃ!」
俺たちが食堂を出た瞬間、今度は聞き覚えがある老婆の悲痛な叫び声がした。
「おい!渓!今の聞こえたか?」
「あぁ、あれは俺を助けてくれた老婆の声だよ。」
「お前を助けた?俺の記憶にはない出来事だな。そういえば手拭いはどこに?」
「あの時、年雄は行方不明だったんだよ。手拭い?手拭いは…あそこだ!」
手拭いは食堂より数メートル村の入口に向かった辺りに落ちていた。
俺は手拭いのすぐ近くまで行って息を飲んだ。
手拭いは、かなり切れ味の鋭い刃物で切られたように、真っ二つになっていたからだ。
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