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「まずはさ、お前が川に帽子を落としただろ。そして、それを拾うために対岸であるここにきた。車を道の突き当たりに停めて、そこから道を戻るように歩いて、腹ごしらえに食堂に入ったんだよな。」
歩を進めながら年雄がどこか遠くを見るような目で話す。
「食堂で『雨鱒定食』を注文して…なんか色々あったと思うんだけど、そこらへんから思い出せないんだよな…。」
「そっか…」
俺は年雄の言葉に、それしか返せなかった。
「それにしても不思議だな。全ての建物が壊れてる?いや、壊れてないような建物もあるけど、かなり古びていて、使われなくなってかなりの年月が経っている感じだ。でも、確かに俺たちは食堂で『雨鱒定食』を注文したよな?」
「あぁ、『雨鱒定食』を注文して味噌汁をすすったよ。」
俺は言いながら吐き気をもよおしたが、必死に平然を装った。
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