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始まるみたいだね、と嬉しそうに小声で言って前を見るミサキ。 その姿はうきうきと心躍っているのがわかる。 他愛もない、言ってしまえばこの場限りの表面だけの雑談はここで終わりである。 学生の頃なんかに出会っていればもっと親密に仲良くなっていたかもしれない。 あぁ、もしかしたらお互いテスターとしてもう一度出会うこともあるかもしれないけれど。 それもこの説明会の内容次第。それに、HPを見る限り望めばなれるというわけでもなかったようだし。 何より胡散臭さは全く拭えていないのだ。 とは言え、うきうきと心躍っているのは俺も一緒で。 説明会の用意をしているのであろう男性がマイクを持つのをミサキと同様見つめていた。 その間エレベーターを諦めた大勢の人が階段で登ってきたようだが、そんなことも気にならない程に、どんな説明が始まるのかと待ち侘びていた。
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