─誤算─ Act2.

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翌十四日に通夜、十五日に葬儀。 母親の顔を見たのは、実に十年ぶりのことだった。 一緒に暮らしていた頃、母親とはしょっちゅう喧嘩をしていた。 原因がなんだったのかなど、いちいち覚えちゃいない。 たいていの場合、喧嘩は口論で終わった。 どちらかがキレ、部屋にこもって終わり。 当時住んでいたのは、二Kの賃貸アパート。 六畳の部屋を母親が、四畳半の部屋をオレが使っていた。 口論するうちに、思いがけず手が出たこともあった。 そんな時はさすがに気まずく、家を飛び出したこともある。
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