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ももぞうの家は古い一軒家で、錆びた鉄の門が開きっぱなしになっていた。庭には、松やいちじくやよくわからない葉っぱの盛り上がった緑の植物がたくさん植えられていて、まったく秩序が無い。家の雰囲気全体が暗く、ねっとりとした夜気に覆われている。
一階の電気は消え、二階の一部屋にだけ明かりが灯っていた。
時刻は間もなく九時になろうとしていた。
やっぱり迷惑だよと香代ちゃんが今さらながら止めるのを無視し、ここまできたんだしとみさぽんが勢いよく先陣を切り、呼び鈴を押した。
ピロロローンとバカみたいに陽気なメロディが、曇りガラス一枚で隔たれた向こう側から流れてきて静寂を破る。
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