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呼び鈴を押して間もなく、どだどだと音をたてて階段を下りてくる足音がして、玄関の鍵がガチャガチャと鳴った。
曇りガラスの向こうに写るでっぷりとした鮮やかに白い上半身のシルエットに、意味もなく全員おののく。
さきほどまでの勢いはどこへやら、みんなすっかり酔いが覚めていた。
カラカラとドアが開き、出迎えた人の顔を一目見た途端、私たちは思わずごくりと息を呑んだ。
その人は、だらしなく太った頭の薄い男の人で、目が落ち窪んでおり、それから、ももぞうとよく似ていた。
私たちはしばらくの間声を失っていた。どういう用件でやってきたのか誰一人男に説明出来ず、ただ、ぽかんとした。
よれよれのランニングに黒いジャージのズボンを履いた男は口を半開きにし、視線の定まらない目で私達のずっと向こう側を眺めている。
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