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「――坊ちゃま。敬坊ちゃま!」
部屋の入口に立ち尽くすメイドの声で、ふと我に返る。
「美術商の篠宮様がお見えです」
「ああ。お通しして」
最近の僕は
――どうもいけない。
「いらっしゃい、春人くん」
「お久しぶりです、九条さん。ご所望の画集をお持ちしました」
祖父の代からつきあいのある美術商の友人が
「何――?僕の顔に何かついてる?」
僕をじっと見るなり
神妙な顔つきで動きを止めた。
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