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多くの不満を抱えた契約ではあったが、EUはドイツ、イギリス、フランスが主体となり機体の共同開発を含めた統合開発計画を取り決め、その中に先進Eジェネレータ開発も取り入れることになる。
米国のエクソスケルトン配備から4年、EUはついに要求値を満たしたEジェネレータを載するマルチパーパス・エクソスケルトン【EF―14スパルタン】をロールアウトした。
初期開発に失敗していた各国は独自のエクソスケルトン戦術を研究、ATW思想を将来的に満たせるようスパルタンには広い拡張性を持たせていた。ただ、ここまでの予算編成で当時の各軍部内にエクソスケルトン否定の動きがあったのは事実である。
歩兵展開能力は車両、航空機、船舶によってのみ発揮できるものであり、いかに屈強な部隊といえども徒歩による局地移動はたかが知れている。戦略上重要なのは補給路を確保した地域制圧であり、戦闘車両を機軸とした作戦が最も望ましい実態があった。
それでもロールアウトに漕ぎつけた理由は、陸戦における大規模戦略、わけても戦車や野砲を機軸とする機械化戦闘は打撃力が大きすぎ、局地戦における運用が難しかったからだ。
だがATW思想における『機械化歩兵』ならば地域への損害を最小限におさえ、なおかつ単一目標に与える打撃力は戦闘車両に匹敵する結果を米国が証明していた。
複数の参加メーカーが提案する運用システムは未熟で問題を抱えてはいたが、今後様々な戦闘を経るうち運用理論が確立するだろう推測から、各国政府は特別予算枠を組んでATW分野に参入していったのである。
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