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「それにね――春人くん。正直言うと、本気なのは僕の方だけなんだ」 静かに画集を閉じる僕を 目利きの美術商は意外そうな目で見つめていた。 「僕のミューズはゲーム感覚さ」 「九条敬を相手に?」 「そうだよ。僕を相手に――」 僕は自嘲気に笑って 運ばれてきたばかりの紅茶に口をつけた。 「あの子にとったら僕なんて――ほんの気まぐれ。一時の遊び相手にすぎないのかもしれない」 「信じられないな……」 「自信ないんだ」
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