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彼が求める口づけを 意地悪く焦らすのは ひとえに僕が自分を止められる自信がないからで――。 「この間の仕返しさ」 「こないだ……?僕はたくさん与えてあげたでしょう?」 平気な顔してそういう事を言うから 「いいや奪ったんだ。僕を骨抜きにしてさ」 和樹――。 いやでも僕は君に夢中になる。 「それにね、今君にキスしてしまったら魔法がとけてしまうから」 「魔法?」 「君が僕を求めてる――ケーキを欲しがる子供みたいに」 「僕の唇はケーキより甘いよ?」
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