12/31
前へ
/31ページ
次へ
16歳のロリータ――。 彼女の気持ちを弄ぶつもりなんて毛頭ない。 罪悪感だってもちろん持ち合わせてはいるさ。 どんな理由があれ女性を手玉に取るなんて、僕の美学に反する。 それでも僕が一心に 彼女の柔らかい髪を撫で 頬ずりさえして見せるのは――。 目の前の少年の瞳に 嫉妬の色が浮かぶのを見ていたいからだ。 確かめるように何度も覗きこむ。 その真黒な瞳が揺らぐのを。 物欲しげに紅い唇を噛み締める その小さな前歯を――。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加