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「梢ちゃん――君の髪って本当に綺麗だ」 まさに屈折した愛情表現。 隣に座る少女の髪をそっと耳にかけてやり囁けば――。 愛おしい君の頬は瞬時に 怒りにも似た羨望で赤く染まる。 僕に同じことしてほしいんだと思っただけでまずい。 おのずと唇に笑みが零れた。 そうなったらもう いてもたってもいられない。 足を組みかえるフリをして 僕はわざと和樹に爪先をぶつける。
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