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僕の視線の走る先を遮るように 「では聞こう。九条さん、あなたの秘密を告白してください」 天宮征司は僕の真正面に立った。 自分の立場同様 僕にはもうひとつ守るべきものがあった。 「このテーブルに、一目で僕を虜にした方がいるということです」 16の少女を誘惑するという サロメとの密約――。 案の定 自意識過剰ともとれるロリータは 僕の流し目にすっかり騙される。 「なるほど」 昔から数学は得意だった。 方程式を解くように 僕はすべてにかなう答えを導き出した。
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