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天宮和樹が求めているのは
有能なゲームの駒で
僕になけなしの興味は示すものの
気持ちは他にあるんじゃないかって
――初めからそんな気はしてた。
「だけどそれが現実というものでしょう?人間誰しも、望むものほどなかなか手に入らない。そうじゃないかい?」
多少開き直って、肩をすくめる僕に
「一般論としてならイエスです。だけどあなたに限っては――」
篠宮春人は頑なに首を横に振った。
「必ず逆転なさるでしょう?」
まるで自分の事のように
意味深で甘やかな頬笑み――。
「君は僕を買いかぶり過ぎてるよ」
だけど僕はあくまで慎重だった。
裏を返せばこの時すでに
年端もいかない少年に
人生を翻弄される寸前だったんだ――。
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