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「それにしてもあなたにそこまで言わせるお相手――どんな方だかますます興味深い」
上品な声音で笑って、春人はティーカップを傾けた。
「名前を聞いたらびっくりするよ」
「ビッグネームですか?」
「まあそうとも言える」
僕を虜にしたのは
元婚約者の弟で
名門天宮家の可愛い末っ子――。
「じゃあ、婚約を破棄なさったのも――本当はその方のせいですね?」
さすがは目利きの美術商。
遠慮がちに目を伏せたままでも
核心を突いてくるから僕は――。
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