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「……九条さん?」
「ああ……ごめん」
一瞬のうちに僕の意識は
彼らの世界へと流れ込んでしまう。
最近じゃ珍しい事じゃない。
「とにかくね、春人くん――僕は生まれて初めて負けてしまいそうな気がするんだよ」
「負ける――?いったい何に?」
禁断の誘惑。
彼と彼にまつわるすべての悪事。
危険のみ孕んだラブゲームに本気になって――。
見境なく快楽に服従する。
度を越した嫉妬心。
同じぐらい首をもたげる支配欲。
「そうだな――正しくないことすべてに」
だから夢中になる。
――あの夜もそうだった。
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