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「とはいえ……」
飛鳥はポリポリと頭をかきながら呟いた。
「来るって言うたって、船しかないやん。この島、港ひとつやないん? <死神>は50人やったら船で乗り付けて終わりちゃうん?」
全くもって飛鳥の言うとおり…… なのだが、そう簡単なものとはサクラと拓は思っていない。二人は黙って地図を睨んでいる。
飛鳥は二人の反応に不満顔だ。
「なんやねん、なんか文句あるんかい」
「船で来るのは間違いないけど、一隻とは限らないっしょ? 考えてみろ、この島はゲームフィールド、50人の<死神>はゲームでいえばニューステージのシナリオ。当然なんか趣向入れるンじゃないかいカイ?」
「そして俺たちが武装していることも相手は知っている。少なくとも自動小銃にSMG、拳銃、そして宝箱の爆薬が少量持っていることは知られている。戦術の基本として、上陸後迎え撃つより上陸を阻む方が楽だ。なら、一隻で全員運ぶっていうのはリスクが大きすぎるだろ?」
「アホな。ウチらにそんな大型船止められるワケがないやん」
飛鳥は意外にまともな見解を持っている。しかし、サクラの言う「ゲーム性」というのもゲーム大好きの飛鳥はよく理解できた。
「じゃあ、沖合いに大きな船でやってきて…… ええっと、なんやっけ? 軍隊で使っとる上陸用ゴムボート……」
「ゾディアック」答えるサクラ。
「そんなんでわらわらっと来るってカンジか? それを陸で待ち構えるウチらっ! 交差する銃弾、波打つ海、巻き上がる水柱! ノルマンディー上陸作戦やぁぁぁぁーーっ!」
拳をぐっと握り締め地図をドンっと叩く飛鳥。相変わらずよく分からないハイ・テンションで危機感は全くない。
「その手も……まぁ可能性がないわけじゃないけど…… ゾディアックなら最大でも一隻で10人ちょっとじゃなかったっけ? それに全面戦争やるにはあたしたちは武器が少ないからなぁ」
「問題なん?」
「それじゃあワンサイドゲームになっちゃうジャン。あたしらに勝ち目はないし、陸で迎え撃つにしても港はいつ狂人鬼が襲ってくるかワカラン状況下……あいつらが圧倒的有利じゃん。それじゃあゲーム・バランスが悪すぎる」
「それに、あの港に何艘も乗り付けられないだろう。逆に俺たちはそこを効率よく狙撃すればいい」
「言うとる事が二人ともちぐはぐでよう分からんわい! もっとウチにも分かるように説明してな」
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