第1章

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 目を閉じたまま、サクラはトントンとテーブルを叩く。サクラの頭脳が、フル回転している時の癖だ。サクラは考えた。<いかに殺さず大量の<死神>を無力化させるか>を。  数秒後…… サクラのテーブルを叩く指が止まり、ゆっくりと眼を開けた。 「どうやるかはこれからつめるとして……」  サクラは鉛筆を取ると埠頭に<拓+1>と書き込む。 「拓ちんは埠頭担当。あたしと飛鳥、あと一人か二人でヘリの方はなんとかする。できるだけ殺さず半殺し、生け捕りで対応しよう」 「具体的な案はあるのか、サクラ」 「ヘリは着陸させず低空で墜落させれば乗組員は無事ではすまないはず。拓ちんはやってくる連中を陸から狙撃、それで敵が上陸を躊躇してくれればいいんだけど…… 後は各場所場所に人を配置して対応ね」 「すごくいい案考えてるようにみえてすごく在り来たりな作戦やなぁ~ サクラの頭脳もついにプリンになったか」とため息をつく飛鳥。 「他にどないせいいうんじゃーっ! こっちは素人の集まりで武器も少ないんだぞぉーっ!」 怒鳴り返すサクラ。確かに全てが都合よく……という作戦などあるはずがない。  拓は喚き合う二人を宥めつつ、サクラが落ち着いたところで言った。 「俺が埠頭でできるだけ上陸を阻むのはいいとして問題は二つ。今あるHK G36CやM16にはスコープがないから確実に当てられるのは300m以内だ。乱射して防ぐには弾数が足りない。最低500発は欲しい。あと狂人鬼はどうする?」 「あ。最初の問題はクリアー。実は大口径のオートライフル見つけ出して隠してる」 「なん……だと!?」  むろん拓は初耳だ。 サクラはあっけらかんと「スプリングフィールドのM14かな? スコープがついてて306口径の弾が120発。ホラ、拓ちん確か持ってたジャン、このライフル」 拓もアメリカの自宅に趣味の狩猟用にスプリングフィールドM14の民間用M1A1を持っている。狙撃銃として十分な性能があるライフルだ。軍用と民間用の違いはフルオート機能があるかないかだ。 「どこで手に入れた? いつ?」 「港でドンパチやる前。例のラボであたしが言ってたでしょ? 『武器取ってくる』って。第二ラボの方にあのガンロッカーと同じガンロッカーがあったからそこから」 「この飛鳥様の手柄やぁ~! エッヘン」  そう。
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