第1章

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「なんでその事黙ってたんだ!?」 「そりゃ『秘密兵器じゃぁーーっ!』と驚かせようと思っ…… イタッ!」  飛鳥が自慢げにしている所を殴るサクラ。 「馬鹿! バラすなっ!」と小声で突っ込む。そして拓のほうを向き直り「いつ武器がなくなるか分からない、そのときのための保険。えっへん♪」と威張る。  むろん全て聞いてしまった後だから、拓は言葉も出ない。この二人は真剣になったようでいてどこか一線、ゲーム感覚が抜けない。それを責めたところで二人が反省したり悔い改めることはないから、文句を言うのは体力の無駄だから拓は頭を抱えるだけだった。 「で。他に何があった。正直にいえ、言わないと後でユージに密告る」 「最低だぁーーーーっ!」 抗議するサクラ。拓は怖くなくてもユージは怖い。 「ショットガン一丁、メーカーはわかんないけどボルトアクションライフルが一丁、手錠が5つ。手榴弾3つ、ガバが一丁、後は弾かな? 思ったよりなかったんだよね」  言われて拓はふと気付いた。今サタンこと村田を拘束しているのに手錠を使っているが、それはこのロッカーから取ってきたものだったのか。よく考えれば手錠など他の場所で手に入れてないしサクラは手錠を持ち歩く事はない。考えればヒントは何度か出ていたのだ。もっともこんな些細なヒントで気づけというのは無理な話だが。  それはともかく、問題はこれからの作戦だ。銃がある程度揃っている、そしてその事はゲーム運営側には把握されていない、その点だけが有利な点だ。その心理を突き、いかに有利な作戦を見上げるかが彼らの勝機だ。  その時だ。サクラの携帯電話が鳴った。 「誰だ…… って、ユージかJOLJUかしかないか」  サクラはポケットから携帯電話を取り出す。 「もしもしこちらサクラちゃん~ 今会議中なので用件は手短に~」 『俺だ』 「やっぱユージか」 サクラはつぶやき拓を一瞥した。拓は頷く。サクラは携帯をスピーカーフォンに切り替えた。 「グッドニュースだと嬉しいンだけど」 『考えようによってはグッドだし考えようによってはバッドニュースだ』  そういうと、ユージは一段声を潜めた。 『衝撃的な内容なのは保障する』 「……………………」  そして、ユージは語りだした。
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