第1章

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3 紫条家 本館 『成る程…… <死神>はこれから増えるのは確実、さらにもう一回イベントがあるっていう事だな』  サクラと拓が交互にサタンの放送の件をユージに説明した。元々フォース・ルールは分かっていた事だから驚きもない。ただ、最後のイベントが入念に用意されていることが照明された。 「で? ユージのあんまりよくない話ってなんじゃい?」 『タイムリーだ。そのフォース・ルールでいう<大死神>たちだが、お前たちの考えている以上に戦闘力があるかもしれない』 「根拠は?」 拓が尋ねる。スピーカーフォンだから皆と通話可能だ。 『まだ完全に確定とはいえないが、CIAの外部組織がこの件に関わっている可能性がある、少なくとも数ヶ月訓練を受けただけの俄仕込みじゃない、本場の訓練を受け実戦経験のある連中が混じっている可能性はある』 「ホンマ?」と飛鳥。 「どういう経路でCIAが絡んでるって分かったんだ?」 『俺を襲った連中が、CIAが雇っていた外部組織の連中だった』  単にいつも通りユージが狙われただけじゃないの?とサクラと飛鳥はツッコんだが、拓はすぐにユージの言葉の意味を理解した。CIAは直属の組織だけでなく複数持っている。そのうちのどこかがゲームに誘われたか雇われその連中がもし<大死神>としてやってきているとすれば戦闘力は拓に匹敵する。 「逆に、もし<大死神>にCIAが混じっているとすれば逆に味方にできる?」 『可能性はある。もし暴走でなく潜入任務のためこのゲームに参加しているなら本部からの命令で味方になる可能性はある。今CIA本部のラインでそれを探っているところだが、お前のほうで動いて対処できるならやってくれ』 「面倒な事あっさり言うなぁ~」  それは結局<大死神>と接触しつつゲーム運営本部にバレないよう味方にできるかもしれないという事だが、そもそもCIAという特殊な諜報機関の外部組織が大局的な判断をできる立場にはない。それに第一<大死神>がCIA関係者と決まったわけでなく、仮面もつけているのだから見た目では分からない。むろんユージもバックアップするが肝心の大襲撃までそんな猶予がない。結局は現場にいる拓が判断せざるを得ない。拓がため息交じりに愚痴ったが、実際の所言葉で言うより遙かに大変な事だ。 「そんなメンドクサイ事いわず助けに来いっつーの!」 とサクラは怒鳴る。
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