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「できるんですか? 50人もの<死神>相手に!」
三浦が不安に声を荒げる。不安は全員そうだ。
「考えます。俺だけでなく、情報も手に入れて万全の作戦を立てます。できるんです、俺たちには」
そういうと、拓は液晶の割れた携帯電話を皆に見せた。皆、驚く。
「これは俺の携帯電話です。それで今、本土と連絡を取ったところです」
「なんだって」
その言葉に全員ざわめく。それではこのゲームから抜け出せるということなのか? 助けを呼んだということか?
拓は全員静まるよう制してから話し始めた。
「今から言う話を冷静に聞いて下さい。俺たちがどうしてゲームの駒として扱われているのか、サタンたちの行動の意味は何なのか…… その答えを今話しましょう」
そういうと拓は語りだした。このゲームの秘密を……
拓は今、この島の殺し合いが世界中でモニターされ賭けの対象になっていること。自分たちは狂人鬼と戦う実験体とされている事、島中に爆弾が仕掛けられている事、日Nテレビの企画から全て仕組まれていた事、本土には連絡し本土でも自分たちの事を把握しているが救出はすぐに来ない事を簡単に告げた。
涼と片山と宮村の三人はすでに聞かされていた話だが他の人間は初めて聞く話だ。全員驚きのあまり言葉を失っていたが、しばらくの沈黙の後、河野だけはかみ締めるように頷き言った。
「もしかしたらそういう可能性はあるかも…… って事は思っていたけど、本当にそうだったのね」
「河野さんは驚いていないんですか!?」
涼が驚いて河野を見る。河野は苦笑し首を横に振った。
「これだけモニターがあるんですもの、誰かに見られている可能性は当然考えたわ。サタンたちだけが監視するにはシステムが壮大すぎるもの。そういう闇ゲームがあるっていう噂も聞いたことがあったわ。でもまさか局ぐるみとはね。それにBメーカーなんて大企業が絡んでいるなんて思いもよらなかったわ」
「米軍の救援が望めないのは本当ですか捜査官」
岩崎が今度は尋ねた。ここまで大規模の犯罪が行われているのに助けがすぐにこないなんて不可解だ。極秘ならともかく今は拓が本土に連絡を取ったので知られている。
「岩崎さんなら分かると思いますが、この大規模犯罪が起きていることを外部の人間は確証が取れません。あくまで状況証拠と俺の通報だけです」
「ふむ」
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