第一話 主人公は執事

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『ラストテイル・オンライン』  ヘカット・プロジェクトが開発した仮想大規模オンラインゲーム。  つまりはVRMMOだ。  一ヶ月間のベータテストを経て、正式サービスが開始されてから既に三年が経過する。  世界観はよくあるファンタジーで、剣と魔法をメインにしてモンスターと戦っていくゲームだ。  しかし盛り込まれるイベントに様々な工夫が織り込まれていたり、生産職の仮想商売の魅力が高かったりと、アップデートの少なさの割には人気が落ちない貴重なゲームと言っていいだろう。  俺も正式サービスが開始された三年前からプレイしているコア・ゲーマーだ。  いや、俺ごときを『コア・ゲーマー』と表現するのもどうかと思うが。  俺をこのLO(ラストテイル・オンライン)に誘った悪友は、ベータテストの参加者であり、正式サービスが開始されてからも日常生活を侵蝕する勢いでこのゲームにのめり込んでいるのだから。  俺はあくまでも日常生活を侵蝕しないレベルでプレイしている。  睡眠時間も食事時間も、そして学校に行く時間もきちんと取っている。  しかしあいつはのめり込むと学校まで平気でサボるからなあ。  とまあ前置きはこれぐらいにしてそろそろ本編に入らせてもらおうか。  語り部はこの俺、紛う事なき主人公でございます。  堂本響希、堂本響希をよろしくお願い致します。  って、選挙じゃねえっつーの。  まあこれぐらいしつこく名乗っておいた方が主人公の名前を憶えてもらえるからいいのかもしれない。  しかし今後はアバター名の方が定着するかもしれないと考えると、あっちの名前を強調しておいた方がいいのかな?  それはまあログインした後ということで。  今の俺はあくまでも大学一年生の堂本響希なのだから。  それでは物語を始めようか。  これは『俺』の記録だ。  VRMMOのプレイ物語であり、この手の小説にあるデスゲームとかログアウト不可とかそういうデンジャー要素は無いと予め言っておこう。  純粋にゲームを楽しむ為の物語だ。  だから君達も楽しんで欲しい。  ゲームとは楽しむ為にあるのだから。
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