第一話 主人公は執事

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『キョウは例の屋敷攻略か?』 「まあな。昨日は睡眠時間やばかったからログアウトしたけど、今回はバッチリ時間が取れる。一応三時間攻略を目標にしているが、それ以上かかっても大丈夫な準備はしてきた」  具体的には課題を終わらせたり、風呂に入ったり、食事を済ませたりということだ。  ログアウトしてもリンクス外しておやすみなさい状態になれる。  トイレぐらいには行くかもしれないが。 『あー、いいな。屋敷ダンジョン。面白そう。オレも執事ジョブ取ってみようかな』 「やめておけ。折角武士ジョブでマックスレベルなのにリセットしたらもったいないだろうが」 『いや、だからサブアカウントで……』 「やめておけ」  今でも立派にゲーム廃人なのに、これ以上アカウント&プレイ時間を増やしてどうする。  肉体的にも社会的にもマジで死ぬぞ。 『そう言えば今度アップデートに『転生システム』が実装されるらしいな。その時に考えてみるかな』 「なんだそれ? 転生システムって?」 『情報が遅いなキョウくん。ゲーマー失格だぞ』 「失格でもいいから教えてくれ」 『はいはい。この前オレがマックスレベルに到達したから、今後はどんどんレベルカンストプレイヤーが増えていく筈だろ。そうなるとレベルアップの楽しみが減ってプレイヤーが減るかもしれない。そこでヘカット側が新しく実装予定なのが『転生システム』ってわけさ。マックスレベルを引き上げても良かったんだろうが、オレとしてはこっちの方が面白そうでいいね』 「具体的にはどんなシステムなんだ?」 『そのまんまだよ。レベル99から1に引き戻される』 「………………」  それは、利用するのにかなりの勇気が必要になりそうだ。  ナギがマックスレベルに到達するまで約三年。  それだけの時間を無駄にすることになる。 『そして転生前のスキルを引き継いだまま、新しいジョブを選ぶことが出来る』 「っ!」
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