第一話 主人公は執事

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「転生システム、ね……」  面白そうな話ではある。  レベルアップと共にステータスポイントを振り分けなければならないが、自分の戦闘スタイルや職業によって慎重に選ばなければならない。  それによって戦い方にも個性が表れてくるし、自分だけの戦闘スタイルも確立されていく。  しかし転生を繰り返しレベルを上げていけば上限であるオールステータス1000ということも可能になるのだ。  そりゃあ燃える。  まあオールステータス1000プレイヤーが増えた段階で面白さは半減するだろうが、今回ナギがレベル99に到達するまで三年必要だったことを考えると、ゲーム運営としては十分に元が取れるだろう。  このシステムで十年はいける。   ……それまでに飽きさせなければの話だが。  この先面白いVRMMOはどんどん発売されるだろうし、その生存競争に生き残ろうと思えば新しいサービスを次々と提供することは必須条件となる。  どこまで楽しませてもらえるのか、お手並み拝見といったところだろう。 「とまあ、LOの将来性を考えるのはここまでにして、とにかく今はダンジョン攻略だ」  目的地は目の前。屋敷ダンジョンにいざ突入。 『ケインズ伯爵の屋敷跡クエスト開始しますか?』  扉の前に現れたのはクエスト開始ウィンドウ。  屋敷の前に執事ジョブを持つプレイヤーが現れた時に出るものだ。  当然、Yesボタンを押した。 『ケインズ伯爵の屋敷跡クエスト開始します』  クエスト開始表示が現れて、ウィンドウが消失した。  ギィィィィ、とおどろおどろしい音と共に扉が開いていく。 「さあ開始だ」  俺は屋敷内へと足を踏み入れた。
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