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すらりと長い指が、箱の中身を指す。
うぐっ。
たしかにそう、なんだけど。
露骨に聞かれると恥ずかしいというか、気まずいというか、それだけが目的みたいでなんか嫌だ!
「そうですけど、あ、もちろん、和真さんが嫌だっていうなら全然いいって言うか……」
「何もなしでいいの?」
「あー……、キス、くらいは、したいなぁ、とか」
ハハハハと笑ってみたけど、まじめな視線に口を閉ざす。
なんかこれ、面接みたいだ。
ぜひとも御社で働きたく、みたいな。
「キス、だけでいい?」
しばしの沈黙の後、うつむき加減の和真さんが上目遣いで聞いてきた。
はい、その顔、反則です。
和真さんがキスとか言うから、唇から視線が外せない。
キスだけでいいかだって?
そんなもん、同じ男ならわかるだろ?
いいわけねぇじゃん!
「正直言うと、それ以上もしたいっつうか……」
そもそもなんでこんな質問されているんだ?
和真さんは女が好きで、俺と付き合うとかそんな選択肢ないはずだろ?
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