第1章

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『魔王のたまご』  このたまごの所有者はこの世界における魔王の教育係になれます。  いずれ誕生する魔王をどのように教育するかはあなた次第。  あなたの希望通りの魔王が誕生し、育っていきます。  このたまごを入手した瞬間より、未公開エリアであるルクセリアに入る事が出来ます。  ルクセリアは魔王誕生予定地であり、将来的には魔王軍の本拠地となります。  ルクセリア移住希望者は魔王軍所属になります。  あなたの望む魔王を育成し、あなたの思い通りの魔王軍をつくってみませんか?  魔王&魔王軍育成クエストを受けますか?     ……以上、『魔王のたまご』のヘルプ説明でした。 「いやいやいや、どうしろっつーんだこれ」  ミオードタウンにある俺の家、つまりプレイヤーホームで頭を抱えていた。  執事にだってマイホームぐらいあります。  メイドを撃破しダンジョンを出た俺は、そのまま自宅のあるミオードまで転移して、今後のプレイ展開に頭を悩ませていた。  今まで通り執事ジョブとして屋敷ダンジョンをプレイしていくのもまあ、ひとつの選択肢だ。  しかし『魔王のたまご』という激レアアイテムをゲットしてしまった以上、新しいゲームに挑戦するという選択肢も存在している。  魔王。  そして魔王軍。  物語の展開上、完全に悪役になってしまうのが悩みどころだが、LOユーザーとしてこの激レアアイテムを無駄にするのもまた気が引ける。 「せめて『勇者』だったらなぁ……」  世界を救う勇者様。  そんな英雄ジョブがあるのなら喜んで引き受けただろう。  しかし魔王となると話は違ってくる。  だって魔王だぜ?  人類の敵、魔王陛下。  要するにこれってラスボスの教育係になれってことだよな?  このクエストを引き受けたが最後。  俺ってば最終的にはあらゆるプレイヤーから狩り尽くされる対象になっちまうんじゃねえ?  時期が来たら今度は『魔王討伐クエスト』もしくは『魔王軍征伐クエスト』が立ち上がるに違いない。  将来的にはリンチを受けることになってしまう。 「……怖っ!」  魔王の側近としてあらゆるプレイヤーから狙われる自分を想像して身震いした。
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