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その後男の人は立ち去って女の人
と二人残された。
「…あの、ありがとうございました。」
「あ、いえ気にしないで下さい。」
大丈夫ですから。
そう笑ってみせると女の人は困っ
た顔をした。
「…でもお洋服が………。」
「私、もう帰るだけなんで。」
それだけ言って私は逃げるように
その場を離れた。
きっと私なんかよりずっと身分が
お高い方なのに、気を使わせてし
まうのはなんだか心地が悪かった。
…でも、本当にどうしよう。
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