企画書

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放課後。 終業のチャイムとともに、会議は終了した。 会議は、私にとっては順調だった。 杉田さんを初めとするギャル達は、やると言い出したら止まらない。 勝手なほどのリーダーシップを取り、ほとんど独断に近い形でクレープ出店を強引に可決させた。 こうなることを分かってて彼女たちに任せた私には、常に誰かが非難の視線が送ったが、気には留めない。 文句があるなら言えばいい。 言わないなら私は知らない。 そう思って全部無視した。 「さて、と。」 クラスのみんなは帰ったが、まだ終わりじゃない。 先生方に出す企画書を書かなければならないからだ。 これが私は少し苦手で、なかなか言葉がまとまらない。 それだけならまだしも、行き詰まるとイライラしてくるのが悪い癖だ。 「出店の動機? えっと・・・。」 杉田さんに聞いたが、ラクそうだからとか、自分がクレープ好きだからとかだった。 それじゃ突き返されるのは目に見えている。 せめてもっとマシな理由を一緒に考えてほしいと頼んだが、みんな足早に帰ってしまった。 曰く、 「会議ウチらで進めたじゃん。 丸投げしないでよ。 学級委員はアマネでしょ?」 らしい。 言いたいことだけ言い残して、カラオケ行くって去ってく背中は、突き飛ばしたいくらい腹が立った。 そもそも私も吉良君も、別の委員会に所属するつもりだったのに、誰も立候補しなかった学級委員に無理矢理回されたんだ。 それだって、杉田さん達が強引に決めたこと。 なのにそんな言い方って―― 「はぁ・・・。」 私、またやってる。 またイライラして愚痴ってる。 こんなんじゃダメだ。 大きな溜め息をついて、気持ちを切り替える。 無駄なこと考えてないで、早く書かないと。
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