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実際のところ、問題はありまくりだった。
第一にして最大のそれは、企画書が提出できていないことだ。
昨日、最終下校時刻まで悩みに悩んだが、全然思うようにまとまらない。
とてもじゃないが提出できるレベルではなかった。
従って今日も一人居残り。
クラスのみんなは相変わらず、誰も残っちゃいない。
「知らないよ、学習の狙いとか。」
私は企画書を睨み、一人ぽつねんと呟く。
浮かんで来るのは愚痴ばかり。
もはやまともに書く気があるのか、私でも分からないほどだ。
「そもそも文化祭自体、学習の狙いなんかあるのって話――」
「アマネー!」
突然の声に、背筋が跳ね上がる。
教室の空気を揺るがす元気な声。
やかましいほど目立つこの声の主は――
「み、宮間さん?」
「やっほー。
はかどってるー?」
「もう、おどかさないでよ。」
自称『私の親友』の宮間さん。
幼さの残る顔つきに金髪ショートのクセ毛で目立つ、ボーイッシュで活発な子。
いつも私を頼りにしてくるクラスメートだ。
昨日の会議でも、当たり前のように進行役を任せてきたし、試験前はいつもつきっきり。
迷惑ってほどじゃないけど、それが妙に露骨だから、私はちょっと対応に困ることもある。
前はもっとヤンキーっぽかったし。
「で、企画書どう?順調?」
「あんまり・・・。」
「ありゃま。」
昨日提出するつもりだった企画書がここにある段階で、順調なはずがないだろう。
まあ、昨日中の提出は私が勝手に設けたノルマだから、彼女が知るはずは無かったが。
「そりゃ大変だねぇ。」
「こういうの、苦手で・・・。」
私はまだ少し緊張していた。
つい先程まで言っていた愚痴が聞こえていたんじゃないかって、不安だったから。
だけど宮間さんは――
「ボク、何か手伝おうか?」
「えっ?」
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