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八雲は鏡を見てため息を吐いた。
ふさふさだった髪は、もはや無く。
頭皮が見えている。
「育毛すべきか…スキンヘッドにすべきか…」
悩む八雲は、ある満月の夜に自分の欲望に負けてしまった。
暗闇に潜み獲物を待つ。
そこに、豊かな黒髪を後ろに一つに結んだ着物姿の男性が歩いてきた。
八雲は、その男に後ろから膝かっくんをする。
「うっ」
男がバランスを崩し油断した瞬間…
ぶちっ。
男の髪の毛を抜く。
ぶちっ、ぶちっ。
抵抗されるかと思ったが、男は痛みで身悶え始めた。
「…コイツ変態でち…」
八雲は身悶える男に興醒めし離れた。
それから満月の夜に、髪の毛が抜かれる怪事件が連発したのだが…
ある日を境に、ぱったりと止んだ。
流星が掃除機を暴走させ八雲にぶつかった、あの日を境に出現しなくなったのだった。
満月の怪人が出現しなくなり人々は喜んだ。
そして、歴史研究家の八雲も姿を消したが、それには誰も気付かなかった。
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