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朝の光が差し込む窓辺には、残された少女とキャンパスが一つ。 その絵には少女の姿はなく、針のように細い筆を使った繊細な筆致で、月と窓辺が描かれているだけだった。 少女は朝日の中ぽつんと残された絵をクローゼットにしまった。 その中には、まったく同じ絵が積み重ねられている。何枚も何枚も何枚もーーー。 その奥から、少女は硝子瓶を取り出した。星屑のように白い顆粒がさらさらと瓶の中で躍る。 さらさらと、さらさらと。
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