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むかしむかしとある山奥に嵐と言う大天狗の若者が居た。
「兄様(アニサマ)暇だよぅ…」
木の上で足をバタバタさせ木の幹にもたれ掛かり隣に座っている、緑色の髪の兄様と呼ばれる大天狗の青年…風(フウ)を退屈そうに見詰める。
『…………………………なら湯を沸かすのじゃ。』
読書をしていた風は書物から嵐へ視線をやり億劫そうにそれだけを言うとまた書物へと視線を戻した。
そんな風に嵐は頬を膨らませムスッとし
「兄様は読書とお風呂ばっかりだよぅ…つまんない…」
ぷりぷりと文句を言うも風は読書したまま何も言わない。
「むぅ……ん…?」
そんな風から目を逸らし森の中を見渡すと何かを発見した様で首を傾げ
「兄様ぁ…彼処…あれ人間…?」
深い深い山奥…動物や木々以外のモノが来る事は殆ど無い場所にポツリ1人の人間と思しき影が見え指を指し風に訊けば、風も書物から嵐の指差す先を目で追い…
『……………………………嵐…人間には関わるで無いのじゃぞ?』
眉間に皺を寄せ忌々しげに人間を睨み付けながら嵐に告げるも……
「えー?兄様は何時も他者に関わるなって言うけど…あっ!倒れちゃったよ?!助けなきゃっ!」
『…………………………捨て置いっ…嵐っ!待つのじゃ!』
嵐はカゼを操り風の制止も聞かず人間の元へと飛び立った。
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