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その日は下山するには日が陰って来ていたので、嵐と風の家に聖を泊める事となり
「兄様ぁ…良いでしょ?今からじゃ無理だよぅ!」
『…………………………知らぬのじゃ。他者などと関わってもろくな事にならぬのじゃ。』
『……ごめんね?…嵐…俺は大丈夫だよ?今から下山すれば朝には村に着くと思うし…ね?ほら、俺は男だし野宿でも平気だよ?お兄さんを困らせては駄目だよ。』
頑なに聖を泊めたがらない風に嵐が一生懸命頼み込み、それを申し訳無さそうに見守っていた聖だが、嵐の肩に手をやり目線を合わせ諭す様に言い聞かせる。
「でもっ…今は色んな動物さん達が冬眠から目覚め…凶暴なんだょ?聖1人じゃ無事に帰れないよぅ!聖に何かあったら私っ…ふっ…」
『大丈夫だから泣かないで?ね?』
とうとう泣き出した嵐をギュウと抱き締め頭を優しく撫でる聖…
その様子を不快げに表情を歪め見ていた風は…2人から目線を逸らし背を向け、外へ続くドアへと向かい…
『……………………………どうなっても儂は知らぬのじゃ。好きにするが良いのじゃ。そ奴が居る限り儂はこの家には帰らぬからの。』
そのまま日が沈んだ外へと風は去っていった。
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