第1章 突然で迷惑な同居人

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エミイもそれで安心して かおりを連れ アパートへ向かう。 「あなたの情熱的なところがうらやましいわ」 エミイも歌手活動はしてるが スターになるのは難しそうだ。 「何 言ってんの。エミイだって音楽仲間とグループ組んで、歌ってるって聞いたわよ」 「うん、Eフレンズって言うんだけど、でも売れそうにないわ。みな演奏上手なのに 売り込みより 好きでやってる感じだから」 エミイは控えめに言ったつもりだが、かおりはまともに受け取る。 「ふーん、遊びかー。売るには やる気が大事よ」 「そ そうね」 「どんな音楽かしら?紹介してよ。あんたたちのバンドの演奏、聞いてみたい」  エミイはちょっとためらうが、かおりを連れて行った方が 留守の間かおりの心配をせずに済む。 「いいわ。今夜 音楽関係者もたまに来るクラブで 8時に演奏するの」 かおりの目が輝く。 「へええ、ちゃんと仕事してるんだ。すごいじゃん」  すごいというほどではない。エミイは首を振り 「出演料安いし グループで売れるのはそう甘くはないのよ」と現実を伝える。    エミイは家へ向かう途中 商店街で買い物。かおりも おいしそうなお菓子を買い、 「はい お世話になります。私 荷持があるから」と すぐお菓子をエミイに渡す。  エミイは「ありがと。いただきます」と受け取りながら「アパートはもうじきよ」と曲り角を指す。
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