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動揺しながらもテレビをつけ、馬鹿馬鹿しいバラエティーを見て平常心を取り戻そうとするのだが、一向に笑えない。
しばらくするとジャージ姿になった彼女が出てきた。
「こんなに買ってきていただいて……、ごめんなさい」
「い、いえ……。 何が必要なのか分からなかったので、コンビニで働いている知り合いに頼んだだけですから……」
何を言っているんだ。
ほとほと自分が嫌になる。
「あの、体調は……」
彼女の顔色はまだ優れない。
弱々しく笑った彼女は、小さく頭を下げた。
「シャワーを浴びたら、少し楽になりました。 本当に、ありがとうございます」
「具合悪いんだから、寝ていた方がいいんじゃないかな。 もし嫌じゃなければ、ベットを使っていいですから」
一応、毎日ベットメイクはしている。
汚いことはないのだが、男の寝ているベットに寝かせるのはどうかと思った。
しかし、床に寝せる訳にもいかない。
「そんな、私だけさっさと寝かせていただくなんて申し訳なくて……」
「だ、大丈夫ですから!! 寝てください!! 話は明日してくれればいいですから!!」
なぜだろう、顔が熱い。
「本当に、ありがとうございます」
「いや……」
「私、永井美咲っていいます」
「み、みさきさん……。 ああ、えっと、僕は……、天野友作です」
美咲はにっこりほほ笑んだ。
「友作さん。 お礼は必ずしますから」
「いえ、そんな、いいですから」
美咲は頭を下げるとベットに入って寝る体制を整えた。
「友作さん、おやすみなさい」
「う、うん、おやすみ……」
部屋の照明をおとし、テレビも消す。
友作はコートと薄いブランケットにくるまって眠ることにした。
……しかし、落ち着かないなぁ。
テレビを見る訳にもいかない。
とにかくコートにくるまって寝ようとする。
朝までの時間が永遠に感じられた。
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