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毎日、時間を見つけては図書館にパソコンを持って通い、時間の許す限り小説の神が降りてくるのを待つ。
そして、様々なくだらないアイデアを書いては捨て、書いては捨て、最終的に何も保存することなく図書館の閉館時間を迎える。
そして今日、なんでもいいから書いてみようと書いた一言。
『書けない豚はただの豚だ』
まず、これはパクリだ。
何にもならないし、それどころか盗作で訴えられてしまう。
訴えられるようなことになるほど、人に見てもらう機会もないだろうが。
図書館の中では蛍の光がながれている。
遠回しに、いい加減帰れと言われているようで恥ずかしかった。
友作は仕方なしに荷物をまとめ、使い古したバックパックを肩から下げて歩き出す。
図書館員には間違いなく顔を覚えられている。
なぜなら、向こうから話しかけてくるからだ。
この図書館に勤務する林は、友作の親と同じくらいの歳、五十代のおばさん。
帰ろうとする友作に笑顔で駆け寄ってきて、明るい口調で話しかける。
「友作君、今日は何か書けたの?」
「いえ、なかなかいい考えが浮かばなくて……」
「あら、そうなの……。 今は何についての論文を書いてるんだっけ?」
林は、友作が小説を書いているとは知らない。
書き物のために資料を探していると言って、一度手伝ってもらっただけだから。
細かいことは一度も話したことがないのだ。
友作が嘘をついたわけではないのだが、林が勝手に勘違いをした。
敢えて小説を書いていると訂正する理由が見つからないので、そのままにしている。
「えーっと……、菅原道真です」
「あら、そうなの。 頑張ってね」
確かに菅原道真を主人公にした小説の案が浮かんだので、道真についてリサーチはした。
ただ、何にもならなかった。
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