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比較的片付いている方だとは思うが、小さなキッチンの奥にはゴミ袋が置きっぱなしだ。
5畳くらいしかない狭い部屋にベットとテレビ、そして小さな茶舞台が一つ。
カーペットは敷いてあるがソファーは無い。
カーペットの上に彼女を降ろし、散乱している服を掴んで、腰を摩りながら風呂に向かい、とにかく洗濯物を洗濯かごに突っ込む。
そして乾燥に掛けたまま放っておいた結果、複雑に絡み合ったバスタオルとその他多数の衣類を引きはがし、彼女のところに持っていった。
「寒くないですか?」
「ご迷惑かけて、すいません……」
「すぐにタクシーを呼んで病院に連れて行ってもらいますから……」
携帯を取り出そうとした友作の手を、彼女が掴んだ。
「病院には、行けないんです」
「な、なんで!?」
「お金が、無くて……」
「家族にも僕から電話しますから、とにかく病院に行かないと」
「私には、心配してくれる家族がいないから……」
彼女は目に涙を浮かべていた。
どうして、そんなに悲しい顔をするのか。
儚くて、色白の彼女はとても可憐だ。
色々聞きたいことは山ほどあるけども、友作にそんな事をする勇気はなかった。
「そ、そうなんですか……」
「あの、ご迷惑でなければ……」
「なんでしょうか?」
「一晩だけでもいいんです。 ここにおいてもらえませんか?」
「ぼくは構わないけれど……、独身の、しかも見ず知らずの男の部屋にとまって大丈夫ですか?」
「お願いします、今晩だけ……。 朝になったら、出て行きますから。 怖いんです。 また、あの人が追いかけてくるんじゃないかと思うと……」
「ぼくは、いいけども……」
「ほんとうに、ごめんなさい」
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