in森の中B

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ここでようやく赤ずきんは持ってきた赤いずきんを被りました。 ドラリュ版では頭巾なんか被っていないのです。 赤ずきんが森の中を歩いていくと、 その途中で狼おじさんに出会いました。 この狼おじさんは、 赤ずきんを見るなり食べたくなりました。 ですが、 周りには木こりたちがいるのでここは我慢です。 この狼おじさんにだって世間体がありますし、 ただでさえ警戒されているのだから、 確実に仕留められる確証がない限り滅多なことはできません。 「やぁお嬢ちゃん、  わしはペロー版の狼おじさんじゃ。  どこへ行くんだい?」 「ガレットとバターを持って病気のお祖母さんのところへ行くの」 赤ずきんはデジャヴを感じながらも、 狼おじさんの質問に素直に答えます。 「そうか、  わしはこっちの道から、  お前さんはそっちの道から行って、  どちらが先に着くか競争しようじゃないか」 今さっきの返事を忘れたんじゃないかと思うような、 そんないきなりの提案に、 赤ずきんは内心うんざりしました。 今の赤ずきんは本来のストーリーを無視して、 重いビン物を何本も持っているのです。 完全に大人気ない狼おじさんですが、 それでも赤ずきんはめげずに返事をします。 「いいわ、受けて立とうじゃない!」
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