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5Mはある壁から飛び降りた湊だったが、その衝撃を全身で吸収し怪我どころかバランス1つ崩していない。
「猫かお前は!ったく、どれだけの運動神経なんだよ!」
「アホかお主は?」
「いきなりか!?ツンデレにも程があるぞ!」
「いや、デレてなどおらぬが……」
急な毒舌攻撃に好戦的になった俺を沈めるように、階段から下に降りてきた隼人が俺と湊の間に立ち塞がる。
「運動神経もだが、その前に気付かなかったのか仁?」
「気付くだと?何がだよ?」
「聞く相手を間違えておらぬか?」
「気付かなかったか水無月?」
「俺は無視か!?」
どうやら敵が2人になったようだ。
「はい、着地地点に魔法をかけていましたね。小さな爆破魔法でしょうか?」
「そうだな。爆破の衝撃で落下の勢いを相殺し、さらには自分の足にも魔法をかけ爆破の衝撃を相殺したってところだな」
落下の衝撃と同程度の爆破魔法というだけでも凄いのに、さらにその衝撃と同程度を足にかけるとは人間業じゃない。
まあ、人間かといえば違うのだが……
「ふん、こんなものは経験で話が終わる程度じゃ」
簡単に言った湊だがそれはとても高等技術であり、そこまで細かく魔法を制御するなど俺達では不可能だろう。
しかも、その制御した魔法を2ヵ所同時発動なのだから。
「ふ、ふん、なかなかやるなお前も」
「気付けなかったお主が、どうして上から目線?」
負けを認めなくない無理矢理さだった。
そんな高等技術を見せられながら、異を唱える者が1人。
「ちょっと待ったーっ!無傷で降りてきた理由は分かったけど、じゃあどうして!どうしてスカートが持ち上がらないの!?」
腐った疑問、だが今の俺にはこんな腐った疑問を持つ風香が唯一の仲間であった。
「そうだ!そうだ!説明せよ!」
「……さて、誰から手合わせを?」
「……俺からでどうだ?他はさっきの実技で疲れているだろうから」
「ふむ、それもそうじゃな。では、アホはほっといて始めるとするか」
「賛成だ」
2人はそのまま中央まで進み立ち合って構えをとる。
「あれ?また無視なのか?」
「スカートはー!?」
「風香……その話は本当にどうでもいいですよ」
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