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「───と、合計で20,865栄(単位)だな。毎度ありがとよ。水紋ちゃんもお疲れさん、今週は大量だったから疲れたろ」
「全然!!楽しいからいいの」
日が昇り、漁を終えていつもの魚屋さんへ卸しに来て、毎度のお話タイムだ
私が恐らく笑顔で言うと、おじさんはガハハと大きな口を開けて笑う
「そうかそうか!!海人─かいり─さんもいいなぁこんないい子がいて!!」
「自慢の娘ですよ」
父さんが私の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜながら笑う
海水で傷んだ髪を後で直すとき大変なんだけど…そんなこと気にするより照れくささが勝って私は下を向いた
それを見たおじさんがもっと笑いを大きくしたけど、次の瞬間には、しかしなぁとため息を洩らした
「月4回…週1回の漁は生活には辛いだろう。毎月大丈夫か?」
「まぁボチボチですよ。半年前よりはマシです」
「お偉いさんもなぁ…もう【竜ノ罰】も終わって海も穏やかなんだから、前みたいに毎日漁に出ることを許可してくれてもいいだろうに」
そうですね。と父さんが苦笑する
「ま、なるようになるのを祈るしかねぇなぁ…。…よし、それじゃあ俺はそろそろ商売してくらぁ」
「来週もお願いします」
父さんと一緒に頭を下げると、おじさんがまたガハハと笑いながら「こちらこそまた頼んだよ」と言って私の頭を撫でて行った
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