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「父さん」
「ん?なんだ」
家に帰るためにまた舟に乗り込んで、海を見ながら私は父さんに問う
「【竜ノ罰】はなんで始まって、どうして終わったの?」
私が5歳の時に始まった【竜ノ罰】。そこから6年間続いて半年前に終わった
その規模は悠久全土に広がって、北溟・南溟・宵・暁と関係なく全てに被害をもたらした
漁の全面規制が入ったのは、それが終わる1年前…ってのが私の知る【竜ノ罰】の全てであって、話の初めと終わりは全く知らない
学舎へ通えば教えてもらえたらしいが、私の住む村から学舎へ行く子は村長の一人娘の那津だけであり、那津は学舎の寮に入っているから帰ってこない
だから私と同い年の子や、下の子はその全貌を全く知らないでいた
父さんは、うーんと1つ言うと櫂を漕ぎながら答えてくれた
「言っとくが、俺もそこまで詳しくないからな?王都の偉い人が詳しい情報を提示しないから」
「え、どうして」
王都とは悠久の中心だ。国一つなこの世界の全てをまとめるところらしい
そこから南の──私の住んでいる──地方のことを南溟といい、南都がその中でも中心だ。北の北溟では北都、東の暁は東都、西の宵は西都というと母さんに聞いた
「さぁな…なんせ四大竜様の起こしたことだ。我らが理解出来る部分なんてほんの人握りだよ。王都でもそんなとこで、まだまとめれてないのさ」
学舎では学師の解釈が教えていると聞いたから、王都からのきちんとした情報はまだ入りそうにないな
そう言うと、父さんは家から持ってきた真水の入った水筒を開けて一口飲んだ
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