第1章

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子供のいない人生。 夫婦二人きりの生活。 どちらも覚悟していたつもりでしたし、もっと言えば「おひとりさまの老後」の可能性が一番高かったわけですから、主人と結婚できただけでも幸せなのでしょう。 二人で買い物にでかけたり、食事をしたりと、今まで仕事に行っては帰って寝るだけの生活が、ずいぶんと様変わりしました。 主人と休みが合うときはどこへ行く? なんて話したり、家の掃除ですら、自分のためだと思うとやる気がしないのですが、家族のためだと思えば張り合いも出てくるものです。 これで満足しなければ罰が当たります。 でも、外出先のショッピングセンターで子供を見かけると、寂しく感じるのです。 新聞の折り込み広告で、子供英会話教室のチラシを見ると、淋しく感じるのです。 二人で出かけるディズニーランドやUSJは、それは楽しいものでしたが、もう一人一緒に連れてこられたら、という思いがつきまといます。 端から見れば、大人だけで洒落たレストランで食事ができ、高めのホテルに泊まって、自由に行動できるのがうらやましく見えるのかもしれません。 人は誰しも自分にないものを求めるものですから。
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