第10話 悲しみとケツイ

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「この時代に僕は存在してませんからね。住所も戸籍もないので、アパートを借りたりも出来ません。なのでしばらくはタイムマシンの中で過ごすしかないんですよ」 それを聞いてなんだかかわいそうになってきた。 「タイムマシンがあるなら一回未来へ戻ればいいんじゃないの?」 「残念ながらあのタイムマシンは一度きりしか使えないんです」 「え……?」 「この時代へ来てしまったら、自分の意思で未来へ帰る事は出来ないんです」 「ま、待って!じゃあどうやって未来へ帰るのよ!」 「それは……」 彼は寂しげに苦笑いを浮かべる。 「あなた次第……ですかね」 「え?どういう事?」 「僕が未来へ帰る方法は、僕がここへ来ない未来が出来た場合のみです」
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