第10話 悲しみとケツイ

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そうしたら瑞希君に告白される時、駿に見られなくて済むかもしれない。 見られないなら瑞希君と付き合ってても、駿が瑞希君を殺すなんて最悪な事にはならないんじゃないのかな? でもイツキは、私が瑞希君と付き合った瞬間彼の死が決定的となるって言ってた。 「ほら、はぐれんなよ」 「あ……」 彼が私の手を引き、少し強引に出店の方へ。 愛しい温もり。 初めて握ってくれた手。 ずっと待ち焦がれていた瞬間だった。 なのに、どうしてこんなに悲しい気持ちになってしまうんだろう。 どうしてこんなに胸が痛むんだろう。 わかってる本当は。 うまくいかないってわかってるんだ私は。 私のこんな子供騙しじゃ、運命なんて欺けないって。
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