第10話 悲しみとケツイ

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なんで一緒に朝ごはんを食べているのかとか、不法侵入の件とかはこの際脇に置いて、私はさっきの話の続きを切り出す。 「そもそもまずあんたは誰なの?どうやってここに来たの?」 「僕の名前はイツキです。タイムマシンに乗ってきました。奏とは大学時代の友人です」 奏は私の孫らしいけど、今の私には全く実感が湧かない。 「ふーん、でも何で私なの?孫を生ませたくないなら、私の子供のえっと……梓だっけ?その子に言えばいいじゃない」 「確かにその通りなのですが、過去に戻って知っている人間と顔を合わせてしまうと、未来に多大な影響を及ぼす恐れがあるんです。僕は奏の両親と面識がありましたので、そうする事は出来ませんでした」 「じゃあ違う人がやればいいじゃん」 「有人タイムマシンが成功したのは今回が初めてでして、死ぬ可能性の高いそのマシンに自ら飛び込もうなんて人はそういませんから」 って事は、ここにいる彼は自分の命を省みずここに来たって事になる。
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