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夕焼けが遙人を包んで…
穏やかな表情を見せる。
オレンジ色だから…?
一瞬も私の視線から逸らせないで、
あの頃と同じ表情を見せてる…
吸い込まれそう
あの時。
あの祝賀パーティーの時。
あんな酷いことを言ったのに…
変わらない瞳は私だけを見つめて…
きっとそんなのは私の思い過ごし。
なにを思い上がってるの?
そんな風に自分に言い聞かせようとして…
「あ、のんちゃん!」
緩んだ手から、希の手が放れて、
遙人に駆け寄る。
それでも遙人は私を見つめたまま。
「危ないから!
のんちゃん、走っちゃダメ!」
洋子さんの声でやっと我に返ると、
希は路地に差し掛かって…
爆音をあげてバイクが走ってくる。
ひかれる!!
「希!」
路地の真ん中で足が竦んで動けなくなっている
私は
駆け寄り希を遙人の方に突き飛ばした…
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