第一章

16/16
542人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「た…ただいま…」 学校を出てから家まで、とにかく一目散に逃げ帰ってきた。 例によってまたベッドにダイブ。 (落ち着け…落ち着くんだ僕) 冷静になろうとすればする程、無情にも頭の中でこだまするのは、アズマさんのあの言葉で。 しかも無駄に鮮明に、アズマさんの声そのものが脳内再生されてしまうから、落ち着くどころじゃない。 (けど、それだけ…愛されてる、って事だよね) 今朝から不安要素だったそれが解決されて、ほっとしているのも事実だった。 恋とかあんまりした事ないし、誰かと付き合った事もないから、愛するとか愛されるっていうのがどういう事なのか、まだよく分からない。 でも心からアズマさんの事を好きだし、思わず逃げ出してきてしまったけど、言われた言葉が素直に嬉しかった。 (今度はちゃんと言おう、うん) あんな言い方じゃ誤解されたかもしれないし。馬鹿とか言っちゃったし。 「…あい、してる…」 試しに声に出してみたけど、その場面を想像したら恥ずかしすぎて、一人で撃沈した。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!