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ーーー二週間前。
ーーー遠野邸。
私の料理を渉さんも会長も美味しそうに食べてくれていた。
始まりは、会長の何気ない一言だった。
『…桐谷くんがいたら楽しいね。毎日こうならいいのにね…』
その言葉に心の中がじわりと熱くなり、
会長の笑顔と同じくらいに微笑んだ次の瞬間
会長と私の笑顔が同時に固まった。
『お前を嫁にもらう。一緒に暮らす。飯(メシ)は一緒。そういうことだ』
私と会長はもう食事どころではなかった。
二人で同じだけ慌てて、赤面していた。
そんな私たちをよそに渉さんは料理の手を休めない。
「望愛、これウマいな」
「…ありがとう…ござい…ます」
ぼんやりと答えてみる。
…答えてる場合じゃないけれど
もう、わけがわからなかった。
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