2324人が本棚に入れています
本棚に追加
目頭が熱くなり
鼻の奥がツンと痛んで
喉の奥がくっつきそうだった。
母が瞬(マバタ)きを繰り返しながら、口元を手で覆った。
そして、頭を下げたままの渉さんから視線を隣の私に移す。
涙をいっぱい溜めながら、母はそれが零(コボ)れ落ちそうになるくらいに目を細めた。
「…父さんから聞きたかったけど…父さんに言われたみたい」
私も母と同じ目で微笑み返した。
「…よかったね」
声になったかはわからなかった。
ただ…
…胸がいっぱいだった。
最初のコメントを投稿しよう!