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「そ、そんなことないです!」
私は慌てて答えた。
本当に…、それが嫌なんじゃない。
ただ、不安だった。
「…嫌なんかじゃありません。ただ…」
「ただ何だ?」
「渉さんと私は仕事上では社長と秘書です。そんなことが…許されるんでしょうか?」
「許すも何も、社長は俺だ。俺がいいと言えばそれでいい」
「そんな…」
「とにかく、俺はお前を離すつもりはない」
渉さんはそう言って席を立ち、リビングを出て行ってしまった。
なんだか…
渉さんらしくない態度だった。
「まったく、どうしたんだ。まるで子供のわがままだな…」
会長が私に謝るように困った表情を向け、小さく頭を掻(カ)いていた。
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